味トレンドレポート・番外編「味」への好奇心旺盛な社員が、とっておきのトピックをお届けします!

ビール系飲料

 国内大手5社が発表した2010年上半期のビール系飲料の出荷量は、前年同期比4.5%減の2億753万9千ケースで、統計を始めた1992年以降過去最低の数字となった。いわゆる「ビール離れ」が進むなか、高価格帯の「プレミアムビール」や低価格帯の「第三のビール」は売れ行きが好調のようだ(※1)。  

そういった厳しい状況下で、果たしてビールの味トレンドはどのようにシフトしていったのだろうか。その変化を追った。  

なお、本章で言う「ビール系飲料」とはビール、発泡酒、リキュール(発泡性)①などの「第三のビール」のことであり、ノンアルコールビアテイスト飲料については触れていない。

味トレンドシフト解析
「苦味」が減る(2007年→2008年)2007年

では、順を追って「キレ」と「苦味」(「ビール系飲料」においては、「コク」の一要因となる)による「ビール系飲料味マップ」を見ていこう。御覧の通り、「苦味」と「キレ」は逆相関となっている。  2007年は左上から右下へ、ライン状に各商品(全98サンプル)が並んでいる。キレが強いか、苦味によるコクが強いか。商品ごとの特徴は明確かつシンプルなものであったようだ。

(※1)参考:朝日新聞2010年7月13日号

2008年

2008年(全96サンプル)の「ビール味マップ」では、左上から右下へと向かうラインからはずれた商品がちらほらと見られる。キレの強いダイエット系の商品など、さらに特徴的な商品が表れたためだ。  さらに、商品のプロットで作られたラインが、2007年に比べて左下にシフトしているのがおわかりになるだろうか。これはいったい何を意味しているのか。

平均値を比較していくと、「苦味」が低くなっていることがわかる。「ビール系飲料」は味の差異が大きく、マップ全体のMAX-MINの差が他のカテゴリと比べても大きいため、平均値の差も全体マップ上では小さいように見えるが、拡大図(右上)のように、数値にして約1の差がある。「味マップ」において1の差はおおよその人が味の違いを感じるレベルであるので、2007年から2008年にかけて、「苦味」は減少したと言える。

 

しかしこれは、単純に低価格である「第三のビール」が売れたから全体的な苦味が落ちた、というわけではない。確かに生ビール以外飲まないという「本格派」は、「第三のビール」はコクがない、という方もいらっしゃるかもしれないが、リキュール(発泡性)①などは(「サッポロ麦とホップ」など)ビールの「苦味」に近い味を出しているものも、「苦味」が強めのものもある。

単純にビールから「苦味」が減った、というわけではなく、「苦味」の強いもの・弱いものが混在する中で、全体を見ると「苦味」が落ちている状況のようだ。

「苦味」はさらに減少、「キレ」は増す(2008年→2009年) 2009年

 2009年(全80サンプル)では、2008年よりさらに「苦味」が減る。「苦味」の10から12のゾーンにプロットされる商品が無くなったのである。さらに右下のゾーンにプロットされるものが増えはじめた。「キレ」のある商品がさらに増え始めたのだ。  

拡大図(右上)を見てみよう。2007年から2008年ほどではないが、2008年から2009年にかけてもやはり「苦味」が落ちている。「キレ」の縮尺は全体図と変わらないので分かりにくいかもしれないが、0.8ほど「キレ」も増している。「苦味」のコクより「キレ」感がより受け入れられてきたようだ。これは「第三のビール」の中でも、リキュール添加型でないもの「キレ」が強いことに起因すると思われる。価格が同じ「第三のビール」の中での味の選択が行われているものと推測される。

「苦味」が増し、「キレ」も増す(2009年→2010年) 2010年

2009年から2010年では、「苦味」の揺り戻しとでも言おうか、現段階(41サンプル)では「苦味」の平均値が2008年以上に強くなってきている。しかし、「キレ」はさらに強くなり、言うなれば「コクがあるのにキレがある」ような、満足感とさっぱり感を両方求めているかのような平均値だ。これがおそらく冒頭の【カテゴリ概要】に記述した、「プレミアムビール」と「第三のビール」の二極化が進んだ状態の「味マップ」なのだろう。

総括

本章における味トレンドシフトをまとめると、以下の通り。

「ビール系飲料」は「苦味」のコクが減って「キレ」が増す傾向にあったが、本年は「プレミアム ビール」支持と「第三のビール」支持の二極化などにより「苦味」、「キレ」ともに増加する傾向が 見られる。

 予測

「第三のビール」の出荷率がどんどんと伸びていること、「サッポロヱビスビール」や「サントリープレミアムモルツ」など苦味の強い「プレミアムビール」も根強い支持を持つことなどから、今後も味の二極化は進むと思われる。「平均的な味わい」よりも飲用シーンや味(コクが強い・キレが強い)がきっちりと設計された商品が受け入れられるだろう。

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