味トレンドレポート・番外編「味」への好奇心旺盛な社員が、とっておきのトピックをお届けします!

なべつゆ

定義鍋用つゆ。ストレート、希釈用含む。
カテゴリ概要ブームがひと段落した後も、堅調な売上が続いている「なべつゆ」。2009年にヒットしたカレーなべつゆ、トマトなべつゆ以降はこれといった代表的なヒットフレーバーがないものの、各メーカーの工夫により、メニュー専用の合わせ調味料として定着してきた感がある。なべつゆカテゴリの強さの裏には、どのような味のトレンドシフトが見られるのだろうか。

  なべつゆの味マップは「旨味」と「塩味」で描画した(以下「」トル)。多くの商品が位置するゾーンを赤破線で括っている。
  まだ「ブーム」と呼べるほどではなかった2006年-2007年の味マップを見ると、フレーバーの種類が限られており、豆乳、寄せ鍋、ちゃんこ、辛味(キムチやチゲ等)の4つのフレーバーが大半を占めている。また、一部の豆乳フレーバーを除くと、ほとんどのアイテムが旨味0から4、塩味-2から4(黄緑破線枠内)に集中しており、それほどの振れ幅がない。「なべつゆ」の味にあまりバラつきがなく、メーカーや消費者の間で、一定のイメージで決まっているカテゴリであったと推測できる。キムチフレーバーは「エバラ キムチ鍋の素」に見られるように、辛味がある分旨味は控えめで塩味は強め、寄せ鍋フレーバーは「ミツカン鍋楽鍋座寄せ鍋つゆ」のように、旨味と塩味のバランスが同程度の味を持つものが多かったようだ。

2006-2007年なべつゆ味マップ図1

  「なべつゆブーム」全盛期とも言える2009年-2010年の味マップでは、2006-2007味マップと比べてかなりの変化が見られる。まず、フレーバーの種類が格段に多くなり、その分味わいにも幅が広がり、特に旨味において強いアイテム、弱いアイテムの差が広がっていった。新規参入のメーカーも多く登場し、「カゴメ甘熟トマト鍋」は控えめな塩味によって旨味を感じやすくし、また甘味も強くして差別化を図り、ヒット商品となった。

2009-2010年なべつゆ味マップ図1

  なべつゆブームが落ち着いた2011年の味マップでは更なる変化があった。図中では「辛味」から「乳製品」まで11ものフレーバーを色分けしているが、それに当てはまらないフレーバーのなべつゆがかなり多く登場した。「カレー鍋」「カルボナーラ鍋」「トマト鍋」といった。従来のなべつゆイメージをブレイクスルーしたフレーバーから、さらに派生した商品が生まれたということである。「ダイショーCoCo壱番屋チーズカレー鍋スープ」のように合わせ技とでもいうべき味のものや「エバララーメンスープ鍋の素」のように消費者の間でそれほど定着していない新しい食べ方を提示するもの、「菊正宗酒粕しょうが鍋つゆ」のようにそもそもなかった味わいのフレーバーも誕生した。
  全体的には旨味が強いアイテムが多数現れ、2006-2007年時にはほとんどのアイテムが収まっていた黄緑破線枠から飛び出すものが多く現れた。

2011年なべつゆ味マップ図1

  では、旨味の後味はどのように変化したのであろうか。前回の「味トレンドシフトレポート2010」で御報告したように、「先味強め、後味あっさり」が2010年の味トレンドとして多く見られた傾向であった。しかし、この鍋つゆカテゴリは例外で、旨味の後味を示す「後引く旨味」は2006年-2007年に比べて強くなっている。ところが、2011年の「後引く旨味」平均値では2006-2007年平均値と比較しても少なくなっている。これは、一時ヒットしたカレー、乳製品のフレーバーが減ったためと、2009-2010年時にヒットしたフレーバーと差別化を図ることを強いられた新しいフレーバー群が、結果的に後味あっさりめになったのではないかと推測する。

なべつゆ後引く旨味平均値棒グラフ図1