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昆布
水により味が異なる昆布だし!硬水で抽出するだしは現代的!?


  日本の水は一部地域を除いておおむね軟水に属する。一般的にだしの抽出には、軟水を使用すると良いといわれている。しかし近年の論文発表によると、“硬水もだしに適する”という報告がある。今回、よく使われている昆布4種類(日高昆布、利尻昆布、羅臼昆布、真昆布)を用い、軟水と硬水によるだしの味の違いを探った。


【図1】昆布だしの“塩味”と“旨味”ポジショニング

図1

  図1は硬度の異なる水で抽出した昆布だしの“塩味”と“旨味”ポジションを示した。プロットが右上に位置するとインパクトが強いと考えられる。4種類の昆布は硬水の方が軟水よりインパクトがあると考えられる。



【図2】昆布だしの味バランス

図2

  図2は8種類の昆布だしの平均を0とし、昆布だしの味のバランスを表した。硬水で抽出した日高、羅臼、真昆布だしは旨味とその後味、そして特に塩味が強くなる傾向があることがわかった。



【図3】昆布だしの“旨味の後味”

図3

  図3は昆布だしの“旨味の後味”を示した。全体的に硬水のほうが余韻が長く、軟水ではキレの良い後味となっている。特に硬水では真昆布が強くなり、軟水では利尻昆布が最もキレが良いと考えられた。
★昆布:日高昆布、利尻昆布、羅臼昆布、真昆布
★水:軟水は蒸留水、硬水はエビアン(硬度304)を使用。
★抽出方法:水500mlに10gの昆布を入れ、冷蔵庫で一晩抽出した。

  なぜ硬水の方が“塩味”“旨味”“旨味の後味”が強かったのだろうか。まず、硬水にはミネラルが多く含まれており、その分“塩味”が強くなったと考えられる。そして硬水にはカルシウムやマグネシウム等が含まれており、そのバランスにより旨味成分の溶出度が異なるが、今回のエビアンは旨味に関与する成分の溶出度が高いと予想される。
  昨今は旨味の余韻を強化した製品が多く、「だし」の嗜好性も変化してきていると考えられる。一般論では軟水がだしに向いてると言われているが、特に硬水によるだしの味わいの濃厚さや余韻は「現代的なだし」として活用できるのではないだろうか。そして素材と水の味との相互作用を考慮し、上手に使い分けることにより、最高のだしの味を引き出せると考えられる。