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自主研究

不天候の2019年ボジョレーは2013年と類似
生産者の実力が問われる年

味香り戦略研究所では、創業(2004年)以来10年余りにわたり、毎年、ボジョレーヌーボーの代表製品の味覚分析を実施してまいりました。そして、本年も解禁日に合わせ、味覚分析を実施いたしました。

今年の日本は天候災害が多く、はるか遠くのぶどうの産地でも霜、干ばつ、雹の被害があり、生産者は苦労したようです(https://www.beaujolais.com/en)。ボジョレーヌーボーの代表銘柄「ジョルジュ・デュブッフ(以下GD)」の2006年から2019年にかけてのボジョレーヌーボー(以下BN)の味わいの軌跡と歴代の味わいの比較から傾向を読み取りました。

【図1】2019年味バランス(標準化)と類似年度

【図1】は今年のGD(ジョルジュ・デュブッフ)BN(ボジョレーヌーボー)の味わいのバランスを、歴代の製品と比較したものである。今年は昨年と比べ、「酸味や複雑さ、渋みが弱いがボディ感と余韻は平均的な味わい」であった。この味わいは2013年の味に類似しており、この年も天候に恵まれず、「みずみずしい果実味」と言われた年であった。

【図2】GDBN2019の酸味・渋みの変化

【図2】はワインの熟成に必要な要素の酸味と渋みの変化を示したグラフである。測定経験上、これらの酸味や渋みの強さが強いほど、ボジョレー品評会においてよいコメントが出ることが多いと考えている。そのため今年は酸味が弱い分、甘味なども感じ、熟成せずともはじめから飲みやすいかもしれないが、今後の熟成を考えるとボジョレー史上でもあまり期待できない部類に入るのではなかろうか。

【図3】2019年市販品の味わい分布

【図3】では他の生産者のワインを比較した。昨年のGDBN・GDBVNと比較すると全体的にこれらの味わいは比較的弱い。しかしながら生産者で味の差も大きく、作り手の技量が大きく示される年になるのではないかと考えられる。

味香り戦略研究所について

味覚センサなどによる食品の味の数値化がコア技術。
2004年9月の設立以来、蓄積した12万アイテムを超える味データなどをデータベース化し、商品開発や品質管理、売場づくりといったコンサルティングを行うほか、独自のノウハウを基に味にまつわるセミナーや講演活動を行い、食品産業の発展に貢献しています。
【URL https://www.mikaku.jp/】

本件に関する報道関係者 お問合せ先

株式会社味香り戦略研究所 高橋
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