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自主研究

〈炭酸飲料トレンドのゆくえ〉 2021年の注目新ジャンル 「ヘルシー濃い味炭酸」

テレワーク、外出自粛、Zoom飲み会で伸びる無糖炭酸市場

キーワードは「ヘルシー」と「飲みごたえ」の両立
「しっかりと甘い」or「すっきり甘くない」で二極化した炭酸市場に新ジャンル登場?

12万品を超える味覚データベースを基にフードデジタルソリューション事業を展開する株式会社 味香り戦略研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小柳 道啓)は、世界初の“味が測れる機械”「味覚センサー」によるデータから2021年の炭酸飲料のトレンドを推測した。


無糖炭酸飲料市場の現状

■ 無糖炭酸飲料の販売個数が2020年伸長した(2019年比で112%)
■ 無果汁炭酸飲料(有糖炭酸および無糖炭酸)の販売個数は横ばい(過去2年間)
■ 新しい生活様式の定着で炭酸飲料の飲用シーンが多様化、訳あり無糖派・訳あり有糖派のニーズが顕在化

炭酸飲料味分析の要約

■ 既存の有糖炭酸と無糖炭酸の味わいは、飲みごたえ(味わいの強さ)で顕著に二極化
■ 隠れ無糖炭酸派、隠れ有糖炭酸派の双方ユーザーのニーズを満たす新ジャンルが出現

炭酸飲料の味覚分析 背景


千人あたり販売個数

上図は、2019年1月〜2020年12月までの無糖炭酸飲料の千人当たり販売個数の推移を示している。(日経POS無糖炭酸飲料POS分析時系列推移)梅雨時期から夏にかけて販売個数が上昇する傾向は両年とも変わらないが、販売個数量としては2020年の方が全体的に伸びており2019年比で112%となっている。同データの無果汁炭酸飲料(有糖および無糖の合計)は販売個数がほぼ横ばいとなっていることから、炭酸飲料ユーザーのなかで無糖炭酸飲料への注目が集まっていると考えている。

これは2019年と2020年では生活環境の大きな変化があり、背景としてテレワーク、外出自粛などの行動が制限される状況が、気分転換、健康維持、Zoom飲み会など、適用範囲の広い無糖炭酸飲料のニーズが増えているであろうことはある程度想像に難くない。ただ、一方でこれらの要因から無糖を購入した既存の有糖炭酸飲料ユーザーからは「飲みごたえ」や「味わい」の面で物足りなさを感じているという意見もある。そこで今回は、炭酸飲料ユーザー全体のニーズに対し、どのような商品がリリースされるかを推測・検討した。

無糖・有糖炭酸飲料の味を比較

メーカー各社の主要無糖、有糖炭酸飲料12種類の味わいを調査し、その甘さや味の強さのバランスを【図1】に示した。ゼロ点は炭酸飲料全測定平均値。

【図1】炭酸飲料の味わいのバランス

無糖と有糖の炭酸飲料を味わいの強さと甘味の分析結果で示した。マップ上の右上には有糖炭酸、左下には無糖炭酸が集中しているのがわかる。甘味を示す横軸をみると、0〜2地点に有糖、無糖の商品が重なるものも存在しているが、これは香料や微量のエキスなどの影響によると推察される。一方で「口当たりのしっかりさ」や「飲みごたえ」といった全体的な味わいの強さを示す縦軸は、明らかに集中するエリアが異なっている。両者の大きな違いは、この飲みごたえ(味わいの強さ)である可能性が高いことが見て取れた。

一方で、両エリア間の隙間には、これまであまり商品が存在していなかったことも確認できた。しかし、ブルーオーシャンであったこのエリアに、有糖炭酸から派生した不二家レモンスカッシュの無糖タイプ(2020年12月発売)、無糖炭酸から派生したサントリー天然水スパークリングシリーズの新商品「同贅沢しぼりグレープフルーツ」(2021年3月発売予定)が相次いで出現したのは注目すべき点であろう。

【図2】に、詳細の味わいのバランスを示した。

【図2】炭酸飲料 各商品の味わいのバランス
【図3】2021年炭酸飲料味わいエリアマップ(推測)

【図3】には、2021年の炭酸飲料商品の味わい予測のマップを示した。有糖炭酸ユーザーの一部からは、過度に糖分は摂りたくないが、無糖炭酸ではもの足りないので、しかたなく有糖炭酸を選んでいるという声があった。また、無糖炭酸ユーザーの中にも、味わいのある有糖炭酸を飲みたいが、健康志向からあえて無糖を選んでいるという意見が一定数存在しているようだ。これらのニーズに応えるエリアを新ジャンルの「ヘルシー濃い味炭酸」として示したい。

2021年の新ジャン「ヘルシー濃い味」炭酸飲料ポイント

  • 有糖炭酸ユーザーと無糖炭酸ユーザーの双方にみられるニーズに応え、無糖炭酸のヘルシーさを維持ながら、果汁感などで飲みごたえを追及する新ジャンル「ヘルシー濃い味」炭酸がエリアとして成長してくる。
  • 技術的にも難易度の高い新ジャンル「ヘルシー濃い味炭酸」は、各社の無糖炭酸飲料からの派生と無糖炭酸からの派生と双方の既存エリアからアプローチが見られる。

【ヘルシー濃い味の代表的ブランド】

(左)不二家無糖レモンスカッシュ・(右)サントリー天然水スパークリング贅沢しぼりグレープフルーツ

ユーザーの嗜好、飲み方なども影響するが、2021年は有糖、無糖の垣根を越えた新領域の味わいがリリースされてくるのではないかと考えている。サントリー食品インターナショナルからは、0kcalなのに果実感が贅沢に味わえる「サントリー天然水 スパークリング贅沢しぼりグレープフルーツ」が、アサヒ飲料の三ツ矢ブランドからは、「三ツ矢サイダーレモラ」が”無糖派にもおいしい有糖炭酸”をコンセプトとして両商品とも2021年3月に発売される。生活スタイルの劇的な変化が見込めない中、一層ユーザーの嗜好、ニーズに寄り添った商品がメーカー各社からリリースされるだろうと考えている。

味覚分析概要

■炭酸飲料 味覚分析サンプル

  • キリンレモン(キリンビバレッジ)
  • レモンスカッシュ(不二家)
  • キレートレモンW(ポッカサッポロ)
  • オランジーナ(サントリー食品インターナショナル)
  • 天然水スパークリングレモン(サントリー食品インターナショナル)
  • 天然水スパークリング贅沢しぼり(サントリー食品インターナショナル)
  • 無糖キリンレモン(キリンビバレッジ)
  • 不二家無糖レモンスカッシュ(不二家)
  • コカコーラ ザ・タンサン(日本コカ・コーラ)
  • アサヒウィルキンソンレモン(アサヒ飲料)
  • アサヒウィルキンソングレープフルーツ(アサヒ飲料)
  • アサヒウィルキンソンエクストラグレープフルーツ(アサヒ飲料)
  • アサヒウィルキンソンエクストラレモン(アサヒ飲料)
  • サントリーSODAレモン(サントリー食品インターナショナル)

味覚センサーとは

 九州大学と株式会社インテリジェントセンサーテクノロジーが共同開発した、世界初の味を測定するセンサーです。味覚センサーでは「おいしさ」の重要な構成要素となる基本的な味覚(旨味、苦味、塩味、酸味、甘味、渋味)を数値化し、客観的に表現することが可能です。 株式会社 味香り戦略研究所は、この味覚センサーによって味を数値化し「見える化」することで、おいしさのパズルを解き明かす企業です。2004年9月の設立以来、蓄積した10万アイテムを超える味覚データベースを基に、市場分析から販売促進支援のサポートまで、お客様に最適なソリューションを提供しております。

会社概要

会社名:株式会社 味香り戦略研究所 【https://www.mikaku.jp/index.html】
本社所在地:〒104-0033 東京都中央区新川1-17-24 NMF茅場町ビル8F 代表者名:小柳 道啓
設立年:2004年9月
事業内容:フードデジタルソリューション事業

本件に関する報道関係者 お問合せ先

株式会社味香り戦略研究所 広報事務局 (森下・清宮・徳重)
TEL 03-3407-5780 / MAIL press@epochseed.jp