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味香り戦略研究所調べ 飲料トレンド
人気拡大中!ルイボスティーの味・香りを分析
麦茶でも緑茶でもない独特の味わいを科学的に解き明かす

「食」を科学する株式会社味香り戦略研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小柳道啓、以下「味香り戦略研究所」)は、昨今人気が高まっている「ルイボスティー」の味・香りを科学的に分析し、その味わいを明らかにした。

ルイボスティーは、南アフリカで生産されているマメ科の低木の葉から作られるお茶で、ノンカフェイン、ポリフェノールが豊富といった成分特性から、健康・美容をキーワードに注目されてきた。近年、市場が急速に拡大しており、2017年からの6年間で売上が約14倍になり、既存ブランドのラインナップに追加される、コンビニのPB商品が登場するなど、生活に浸透している様子がうかがえる。さらに、全国清涼飲料連合会の2024年「業界年間10大ニュース」では、“無糖茶が多様化して人気”という現象がランクインし、その一例としてルイボスティーが挙げられており、飲料業界でも大きな注目を集めている。
一方で、他の茶飲料に比べて市場規模は大きいとは言い難く、“ニッチな茶”という印象もあるだろう。その独特な味わいは魅力である一方、具体的に想像しづらく、個性が強すぎて飲みづらそうなど、なんとなくのイメージで避けられる対象にもなっている。

そこで今回、味香り戦略研究所では、ルイボスティーの味・香りを科学的に分析し、その特徴や飲まれ方、分析結果から導くおすすめの楽しみ方をまとめた。

結果サマリー
●味・香りの分析結果から、ルイボスティーは「苦味・渋味が少なく、複雑な香りと甘く柔らかな風味を持ち、後味はすっきりしている」ことがわかった。特に香りは、ウッディ・スパイシーさとフルーティ・フローラルな香りが両立する独特の構成である。
●控えめな味わいと特徴的な香りから、止渇性と嗜好性を併せ持ち、水やコーヒーの代替としても選択されていると推察される。また、飲用時の温度によって味が左右されにくく、年間を通じて日常的に楽しめる味わいだろう。
●飲用シーンでは、リラックスしたいときや気分転換、食事のおともにおすすめ。また、ノンカフェインであることから、寝る前の一服にも適している。
●フードペアリングでは、やさしい味わいの玄米おにぎりなど和食系と相性が良く、日本人の嗜好に合う可能性がある。一方、濃い味のとんこつラーメンにもマッチし、幅広い組み合わせが可能である。香りに注目して、素朴な焼き菓子、チーズ、かぼちゃの煮物もおすすめ

形容しづらいルイボスティーの味・香りを科学的に解き明かす

■他の茶飲料に比べ、すっきりと軽やかな味わいで、実は水に近い味バランス

まず、ルイボスティーの味について、味覚センサを用いて分析を行い、他の茶飲料と比較した。(図1)

[図1]ルイボスティーと茶飲料の味分析結果(データは複数の商品の平均値)

ルイボスティーは、グラフの波形が小さく、他の茶飲料に比べておおむね控えめな味であることがわかる。特に後味が控えめであることから、すっきりと飲みやすい、軽やかな飲み口であると推察された。

紅茶と比較的バランスが近しいが、ルイボスティーの方がうま味・渋味いずれの後味も控えめで、苦味も弱いことから、後残り感が少ないと考えられる。

参考に、ミネラルウォーター(軟水)との比較も掲載する。ルイボスティーは、お茶のうま味や苦味がありつつ、実は水に近い味バランスと言える。水の代わりとして、日常的な水分補給にさらっと飲める味わいだろう。

[図2]ルイボスティーとミネラルウォーター(軟水)の味分析結果(ミネラルウォーターは代表的な1商品のデータ)

■クセになる香りのポイントは、ウッディ・スパイシーなのにフルーティ・フローラルさも併せ持つ複雑さ

次に、におい分析を実施した。GCMSを用いた香気成分分析から、特徴的な香りの要素を解析した。(図3)

[図3]ルイボスティーと茶飲料の香りの構成要素(データは各カテゴリの代表的な1商品)

ルイボスティーの香りは、ローストしたアーモンドやくるみ様のウッディな香りと、スパイシーさが大きく占める中に、フルーティ、フローラルといった華やかさや甘さを感じさせる要素もある、複雑な構成であった。それぞれの要素は他の茶飲料にも含まれるが、ウッディ・スパイシーな香りと、フルーティ・フローラルな香りが両立する構成は、ルイボスティー独特のものである。他の茶飲料にないルイボスティーだけの魅力であり、好きになったら手放せない、クセになる香りと言えるだろう。

他の茶飲料では、同じく香りが魅力のジャスミンティーや紅茶には、フローラルな要素が多く、華やかに香り立つ特徴が表れている。烏龍茶も要素が多い複雑な構成だが、スパイシーさはなく、緑茶・麦茶と同様に香ばしい要素を持ち合わせている。

味・香りの分析結果から、ルイボスティーの味わいは、「苦味・渋味が少なく、複雑な香りと甘く柔らかな風味を持ち、後味はすっきりしている」ことがわかった。控えめな味わいでゴクゴク飲める止渇性飲料でありながら、独特の香りによって嗜好性飲料への適性も併せ持つ点が、他の茶飲料にはないルイボスティーの特徴であり、魅力でもあるだろう。

ルイボスティーはどのように飲まれているのか?

ルイボスティーの味・香りの特徴は分析によって明らかとなった。では、ルイボスティーはどのように飲まれているだろうか。

月ごとの販売実績では、他の茶飲料と比較してルイボスティーは季節による大幅な変動がなく、年間を通じて購入されていることがわかる。(図4)

[図4]ルイボスティーの売上の変動(数量PI値)(FOODATAより)

同じノンカフェインの麦茶は、夏に売上が大きく上がる傾向にあり、これには「夏は麦茶」というイメージの影響も考えられるが、さらには麦茶の特徴的な苦味が関係しているのではないだろうか。苦味は温度によって感じ方が変わる味覚であり、麦茶は冷たい状態で飲むことが多い夏場に親しまれているからこそ、冷えていない麦茶を飲んだときに感じる味のギャップから、夏とそれ以外の季節で売上に差が生じることが考えられる。
ルイボスティーは、苦味・渋味が少ない穏やかな味わいで、飲用時の温度によって味が左右されにくいため、夏は冷やして、冬はホットティーで楽しむなど、いつでも飲める日常的な飲料として人気が高まっているのだろう。

また、年間を通じて気温が高い熱帯気候の地域では、おおむね日本より味の濃さが控えめになっている。高温が続く気候では、味の濃いものは好まれない傾向と考えられるが、控えめな味わいのルイボスティーはその嗜好性に合うため、近年、夏が暑く・長くなっている日本でも支持が広がっているのではないだろうか。

ルイボスティーは、ノンカフェインであることから、麦茶と同じく、子どもも気軽に飲めるお茶である。さらに、複雑な香りと甘く柔らかな風味を持つことから、リラックスしたいときや、気分転換といったシーンにも合致すると考えられる。水では物足りないときや、コーヒー・紅茶などのカフェインを控えたいときに、その新たな代替品として選ばれているのだろう。

ルイボスティーをもっと味わう!おすすめの楽しみ方

ルイボスティーの「甘くやわらかな香りと穏やかな味わい」は、主張が強すぎないため、シーンを問わず飲めるお茶であると言える。さらに、飲用時の温度も選ばないため、キリリと冷やしたアイスティーでもいやみがなく、常温〜ホットティーでは、味わいとあいまってほっと一息つけるお茶になるだろう。特に、要素として含まれるフルーティ・フローラルな香りは、丸みのある甘さを感じさせ、リラックスしたいシーンに適している。ルイボスティーはカフェインを含まないため、日常のリラックスタイム、特に寝る前の一服として最良のお茶と言えるだろう。

ついでおすすめしたいのは、食事のおともとすることだ。苦味・渋味が非常に少なく、後味もクリアで、食事の味わいを邪魔せず楽しめることだろう。玄米おにぎりや玉子焼きなど、やさしい味わいの和食系と合わせても主張しすぎず、食事を彩ってくれるため、普段の食事にも取り入れやすい。穏やかな味わいは、繊細な味覚を持つと言われる日本人の嗜好にも合うのかもしれない。
また、すっきりとした後味で、味の濃い食事のよきサポート役にもなり得るため、国内の有名とんこつラーメン店でルイボスティーを提供している例もある。

[図5]ルイボスティーのやさしい味わいは和食とも相性が良い(イメージ)

フードペアリングの手法のひとつに、香りの要素が近いものを組み合わせる方法がある。柔らかい甘さの香りを持つルイボスティーには、バニラアイスや、シフォンケーキなどの焼き菓子が合うだろう。より香りを楽しめるホットティーをおすすめしたい。
また、ウッディな要素に注目して、かぼちゃの煮物や、熟成感のあるチーズも相性が良いと予想される。特に、塩気のある食べ物との組み合わせでは、ルイボスティーのスッキリした後味が、より一層味わいを引き立たせることに期待できるだろう。

[図6]ルイボスティーの香りの要素とおすすめのフードペアリング(イメージ)

味わいを解明し伝える感性センシング技術

今回の調査では、味分析・におい分析によってルイボスティーの特徴的な風味を明らかにした。ルイボスティーは南アフリカで生産され、市場としては他の茶飲料に比べてまだ小規模であるため、飲用経験のある人も比較して少ないと考えられる。味わい、特に香りの表現は経験によって培われるものであり、経験したことのない味わいを人に伝えることは非常に難しい。分析によるデータ化から味わいを客観化することは、「食べた(飲んだ)ことがない人にも味の魅力を伝えられる」という点で非常に意義がある。
ルイボスティーの分析には、味覚センサによる味の分析、GCMSを使った香気成分分析によるにおい分析を実施した。味わいを構成する要素は他にもあり、味香り戦略研究所では食感(テクスチャ)、見た目(色)、人が評価することで味わいを総合的に見る官能評価を行っている。多面的な分析を行うことで味わいを立体的に捉えることができるが、知らない味を伝えるためには「経験のある味」との差を表すことで実感を伴った伝達となる。今回の分析では、麦茶や緑茶がその役目を担っている。

食経験は、その人の味の嗜好性を形作り、個人の「おいしさ」の糧となっていく。ルイボスティーの市場が拡大を続け、日本において日常的な飲料となる頃には“ルイボスティー味”も確立されていることだろう。そのとき、日本の嗜好性がどのように変わっているのか、市場の変化とともに消費者の変化も注視したい。

参考

  • 全国清涼飲料連合会「業界年間10大ニュース」
    https://www.j-sda.or.jp/learning/history/10news/20-29.php#2024
  • 食品新聞「ルイボスティー飲料市場、6年間で14倍に拡大 ノンカフェイン・ポリフェノールの健康価値で人気」(2024年11月3日)
    https://shokuhin.net/108757/2024/11/03/inryou/inryou-inryou/
  • ルイボス・マーケティング・リミテッド「About ROOIBOS MARK | 01」
    https://rooibosmark.com/about01/
  • 味香り戦略研究所「味・香りデータから海外嗜好性を調査 各国料理から見る国ごとの味 感性データから市場の味の好みを知る」(2024年11月22日)
    https://mikaku.jp/news/2024/10097/

味香り戦略研究所について

「食」を科学する株式会社味香り戦略研究所では、味・香り・食感等の「おいしさ」の可視化技術を活用し、相対評価で捉えられていた感性数値を客観化して、評価基準、尺度としての活用を可能にしました。設立以来、食品のデータ化を続け、現在では12万件を超える食品の味覚データベースを構築しています。これを基に、食品の開発や品質管理、市場調査、海外マーケットに向けた味のカスタマイズ等、食にまつわるさまざまな課題にデータを活用するフードデジタルソリューションサービスを提供しています。

【会社概要】
株式会社 味香り戦略研究所【https://mikaku.jp/】
本社所在地:東京都中央区新川1-17-24 NMF茅場町ビル8F
代表取締役社長:小柳 道啓
設立年:2004年9月
事業内容:フードデジタルソリューション事業

本件に関する問い合わせ先

味香り戦略研究所 コンサルティング事業部
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