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味覚レベルアップ講座

中部大学・香西はな准教授が「味覚レベルアップ講座」を体験
教える立場から見えた、“おいしさ”を伝える技術

「おいしい」を、どう伝えるか。

食品開発や研究、教育など、食に関わる仕事をする人にとって、一度は向き合うテーマではないでしょうか。

今回、味香り戦略研究所の「味覚レベルアップ講座」に参加したのは、中部大学 食品栄養科学科 管理栄養科学専攻の香西はな准教授。
香西先生は、大学での教育・研究において官能評価を行い、味覚センサも活用されています。また、中学生・高校生を対象とした出張授業やオープンキャンパスなど、研究のおもしろさを若い世代へ伝える機会も多いといいます。

普段から「教える側」である食の専門家は、味香り戦略研究所の講座をどのように感じたのでしょうか。受講後、印象に残った体験や、「伝える」という視点から感じたことを伺いました。


〈香西はな先生プロフィール〉

中部大学応用生物学部食品栄養科学科 准教授。管理栄養士。
給食施設での管理栄養士、青年海外協力隊(栄養士)としてアフリカの栄養改善活動などを経て、現職。専門は給食経営管理、食物アレルギー、国際栄養。近年は、愛知県春日井市の特産品である食用サボテンについて、加熱調理による嗜好性や栄養・機能性成分の変化などを研究。また、企業や地域と連携し、学生とともに商品・レシピ開発や食を通じた地域活性化にも取り組んでいる。


教える側だからこそ、あえて「教わる側」へ

香西先生が講座への参加を決めた理由は、味覚についての知識を得ることだけではありませんでした。

「大学の魅力や授業のおもしろさを伝えるにあたり、他で講義を行う人がどのように振る舞っているのか、言葉選びも含めて知りたいと思っていました」

中学生・高校生向けの授業やオープンキャンパスでは、実際に「体験できる」内容への関心が高く、「おいしさ」をテーマにした研究も人気があるといいます。

自身も官能評価に携わる研究者でありながら、あえて教わる立場に身を置く。そこには、知識だけではなく、「どうすれば人に伝わるのか」という伝え方そのものを学びたいという目的がありました。

受講申し込みの最後のひと押しとなったのは、メールマガジンで目にした「残席1」の文字。

「それを見て一念発起しました」と、遠方から参加してくださいました。

「味覚」だけではない。香りや色まで含めて“おいしさ”を考える

「味覚レベルアップ講座」という名前から、香西先生は当初、味覚を中心とした内容を想像していたそうです。

しかし講座では、味覚だけでなく、香りや色、それらが味の感じ方にどのように影響するのか、さらに官能評価の考え方まで幅広く扱います。

「範囲は広いかもしれませんが、どれもおいしさに関わる内容で、不要だと感じるものはありませんでした」

専門的な知識を持つ研究者から見ても、難しすぎるという印象はなく、それぞれのテーマを無理なく理解できたといいます。

味覚だけを切り取るのではなく、複数の感覚が関わり合って生まれる「おいしさ」を体験しながら考える。その幅広さも、講座の特徴のひとつです。

経験とつながった瞬間、知識は「自分ごと」になる

講座の中で香西先生が特に印象に残ったというのが、具体的な事例を使った説明でした。

知識として説明されるだけではなく、自分自身の経験と重なる例が提示されることで、内容の理解が一段深くなるといいます。

「経験とつながることを言ってもらえると、『自分ごと』になるんです。自分ごとになると、より深く理解ができます」

知識として知っていることと、自分自身の経験と結びつき、実感を伴って理解すること。似ているようで、この二つには大きな違いがあります。

味、香り、色など、さまざまな角度から「おいしさ」を体験することで、参加者それぞれの経験と結びつく入口が増えていく。

香西先生の言葉からは、体験することが理解を深めるという、食を学ぶうえでの大切な視点が見えてきました。

官能評価の研究者が注目した「体験の設計」

研究や授業を通じて官能評価に携わり、味覚センサも活用する香西先生。専門家の視点からも、講座の「体験のつくり方」に発見があったそうです。

たとえば、味覚修飾物質を体験するギムネマ茶の実験。チョコレートだけでなく、砂糖やガムシロップなど、異なる食品を使って感覚の変化を確かめます。

さらに、味覚センサによる測定値を見ながら自分自身の感覚と照らし合わせることで、「自分は今、何をどう感じているのか」をあらためて意識する体験にもつながります。

「オープンキャンパス等で提供する体験コンテンツの参考になりました」

研究のために使われる技術や知識を、どうすれば初めて触れる人にも興味を持って体験してもらえるのか。香西先生が注目したのは、内容そのものだけでなく、そこへ導く「体験設計」でした。

食品開発を目指す学生にも薦めたい

普段は学生に「伝える」側に立つ香西先生にとって、今回の講座は、自らが「伝えられる側」になる機会でもありました。専門的な内容を幅広く紹介しながら、具体的な事例や体験によって、自分自身の経験へとつなげていく。講座で得た気づきは、大学での授業やオープンキャンパスなど、今後の教育にも生かせそうだといいます。

そして、講座を薦めたい人について尋ねると、香西先生からこんな答えが返ってきました。

「特に、食品開発をしたい学生に薦めたい。調理学・調理学実習の授業は関連が強いので、そのあとに受講すると理解が深まると思います」

食品のおいしさは、味だけで決まるものではありません。香り、色、食感、そして人の感覚。さまざまな要素が関係し合う「おいしさ」を実際に体験することは、これから食品開発に携わろうとする学生にとっても、教科書だけでは得られない学びになるのかもしれません。

味わうことは、学ぶこと。そして、学んだことは、誰かに伝える力にもなっていく。香西先生の受講体験から、「おいしさ」を学ぶことの広がりが見えてきました。

香西先生に聞く、記憶に残る「食」

Q. 今までで一番記憶に残っている食のシーンは?

「2年間アフリカへボランティアに行っていた時期があり、日本に帰国して最初に食べた食事はやっぱり忘れられません。帰国が夜中だったので、コンビニで普通に買えるものでしたが、帰国前から仲間たちと楽しみにしていて、実際に食べたときの感動はひとしおでした。コンビニそのものにも感激して、店内で動画を撮影したくらい(笑)。一番の思い出です」

Q. 最後の晩餐で食べたいものは?

「最後は、おにぎりかな。具を入れるとしても梅干しとか。お米の味を味わいたいです」

華やかな料理ではなく、最後に選ぶのは「おにぎり」。

食を研究し、教える香西先生の答えからも、「おいしさ」が味そのものだけではなく、経験や記憶とも深く結びついていることが伝わってきます。

味覚レベルアップ講座について

「味覚レベルアップ講座」は、味覚をはじめ、香りや色など、おいしさに関わるさまざまな感覚を、実際の体験を通して学ぶ講座です。食品開発、マーケティング、研究、教育など、食に関わる幅広い方々にご参加いただいています。

講座の詳細はこちら
https://mikaku.jp/service/course/
※2026年度の開催は終了しています。2027年度講座は4月開催予定です。